ZEH(ゼッチ)とは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略語で、年間を通じて消費するエネルギーを再生可能エネルギーでまかない、エネルギー自給自足を実現する省エネルギー住宅のことを指します。 

ZEH住宅は、高い省エネ性能・光熱費削減・補助金が利用できるなど様々なメリットがあります。 

このページでは、ZEH住宅のメリット・デメリット・補助金について詳しく解説。ZEH住宅を検討しているお施主様はぜひご参考ください。 

ATTENTION

ZEHの「H」はハウスを指すため、本来は「ZEH住宅」ではなく「ZEH」が正しい表記ですが、この記事では分かりやすさを優先し「ZEH住宅」と記載しています。 

ZEHとは

ZEH(ゼッチ)とは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)の略です。「Net」は「正味」「実質」という意味があります。

これから新築する住宅の断熱性能を上げ、省エネの家をつくり、太陽光発電などでエネルギーを創ることにより、年間の一次エネルギー消費量の収支プラスマイナスゼロを目指す取り組みのことを指します。 

国は「2030年度以降新築される住宅について、ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」「2030年において新築戸建て住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す」という政策目標を設定しており、経済産業省・国土交通省・環境省の3省が連携して目標達成に取り組んでいます。

その一環として、住宅の省エネ・CO2削減を加速化に繋がるZEH住宅の導入を促す為の支援制度も設けられています。

一次エネルギー消費量

ZEH住宅は、建物の利用に伴う直接的なエネルギー消費量(一次エネルギー消費量)を抑える必要があります。判定の対象となる設備は「冷暖房設備・換気設備・照明設備・給湯設備・家電・調理」などです。

一次エネルギー消費量を抑えるには、住宅の断熱性能を高めることがとても重要。断熱性能の高い家は建物内外の温度差を最小限に抑えられるので、暖房や冷房にかかるエネルギーコストの削減に繋がります。


そのため、ZEHにはUA値(家の断熱性能を示す指標)の基準値があります。例えば福岡県内で建てる家の場合、UA値0.6が基準値となります。

省エネ

ZEH住宅での「省エネ」の実現には、さまざまな形でエネルギー消費量を抑えなければいけません。

そのためにはHEMS(ヘムス・エネルギー計測装置)など、住宅内でのエネルギー消費と太陽光発電などで生成されるエネルギーを監視できるシステムが必要です。

さらに、省エネ型のエアコン、高効率な給湯システム(少ないエネルギーでお湯を沸かす)、低消費電力のLED照明などを導入することも不可欠。これらの対策を講じることで、エネルギーの節約と持続可能な住宅環境の実現が可能となります。

創エネ

「創エネ」とは、自然の力を活用してエネルギーを生成することを指します。

住宅においては、太陽光発電などの再生可能エネルギーシステムを通じて、自家発電したエネルギーを家庭の電力供給に利用することが創エネに繋がります。自然の資源を活かしてエネルギーを生成し、エネルギーの自給自足を目指すという考え方です。

ZEHの場合、住宅で創出されるエネルギーが、住宅内で消費されるエネルギーを上回るように設計されます。これで「省エネ」の設備と合わせて年間で消費するエネルギーの量を実質ゼロ以下にすることができるのです。

ZEH住宅を建てるメリット

ZEH住宅は、創出されるエネルギーが消費するエネルギーより上回る設計のため、光熱費を削減することはもちろん、さまざまなメリットがあります。

補助金をもらえる

ZEH住宅は、高い省エネ性能を備えていることから、新築時に補助金を受けることができます。 さらに蓄電池や低炭素化素材の導入に対しても加算補助が行われています。

国は家庭部門のエネルギー削減を強力に推進しており、その中でもZEHは重要なテーマと位置づけられています。 この普及を後押しするために、国は補助金を交付する形で大規模な支援を行っています。 

光熱費削減

ZEH住宅は、その高い断熱性能により、冷暖房の使用を最小限に抑えながらも快適な室温を維持でき、光熱費が大幅に削減できます。さらに、太陽光発電などの自家発電によって一次エネルギーをまかない、余った電力を販売することも可能です。

東日本大震災以降、原子力発電の停止が電気料金に影響を及ぼし、電気代が最大で約25%上昇しています。 このご時世、家計に負担をかけずに快適な生活を維持できるZEH住宅は、かなり魅力的ではないでしょうか。 

ヒートショック・熱中症対策

上記の通り、電気代が上昇している昨今、冷暖房の電気代を節約したいところですが、夏の暑さや冬の寒さを我慢することは快適な生活とはいえません。

さらに、ヒートショックや熱中症の危険性も増加します。 ヒートショックは、急激な温度変化が血圧を変動させることにより心臓に負担をかけ、脳梗塞、心筋梗塞などのリスクを引き起こす現象です。

また、熱中症は高温多湿の環境で体温が上昇し、水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節機能が効かなくなる病気です。熱中症の発生場所の約40%が家の中であることがわかっています。

ZEH住宅は、高い断熱性能を持つため、外部からの熱や冷気を遮断し、冷暖房効果を向上させます。また、室内の温度差も小さくなるため、ヒートショックや熱中症のリスクを低減させます。

災害の備えになる

日本はもともと地震などの災害が多い国ですが、近年の気候変動による台風の大型化、それに伴い大規模な水害が何度も起こり、災害対策への意識が高まっています。 

ZEH住宅は、非常時の備えとして蓄電池を設置し、停電や自然災害時に必要な電力を供給できます。また、電気自動車の充電も可能です。

従来のオール電化住宅では停電時に使用できないことが多かったため、多くの人々がガスと電気を併用していました。しかし、ガスにはガス漏れや火災のリスクが伴います。 


ライフラインの復旧の早さはガスよりも電気の方が早い傾向にあり、ZEH住宅のように省エネ・創エネが可能なオール電化の住宅は家自体が災害への備えになり安心です。

BELSで高い評価を受けられる

BELS(Building Energy-efficiency Labeling System)は、省エネ性能表示のガイドラインに則って建築物の省エネルギー性能を客観的に評価し、表示するための第三者認定制度です。 


BELSの評価は、建物の一次エネルギー消費性能や省エネ基準への適合度などを客観的に評価し、星1から星5までの評価で表示されます。 


ZEH住宅は通常、BELS評価星4から星5の高い評価を受け、高い省エネ性能を示すことができます。

ちなみにスローライフ住宅設計は、5つ星ビルダーに認定されています。 

将来、ZEHの普及と共にBELSの評価基準も一般的になり、同じ建物でもBELSの評価によってその資産価値が大きく左右される可能性(=BELSの星1や星2の評価を受けた建物は将来資産価値が低下する可能性)があります。 

エネルギーの使用が管理・確認できる

ZEH住宅には、住宅内のエネルギー消費と太陽光発電などで生成されるエネルギーを監視し、効率的なエネルギー管理を支援するシステム・HEMS(エネルギー計測装置)が必要です。

HEMSは住宅内の電気機器に接続され、エネルギーの使用状況を一元管理します。これにより、効率的なエネルギー使用パターンに自動的に切り替えることが可能です。 


また、個々の機器、部屋、コンセントごとに電力使用量をモニタリングできるため、節約すべきエリアを素早く特定でき、家族の節約・節電へのモチベーションを高める役割を果たします。

ZEH住宅のデメリット

ZEH住宅には多くのメリットがありますが、そのメリットを享受するためのデメリットも存在します。 高性能な断熱材や省エネ設備を備えた快適な家を手に入れるための注意点は以下のとおりです。

初期費用が高くなる

ZEH化を実現するには、断熱性能の向上、高性能設備の導入、そして創エネ設備の設置といった3つの要素が不可欠です。 この3つの要素は、通常の住宅に比べて建築コストを増加させる要因となってしまいます。 

とはいえ、ZEH住宅は国の補助金制度がありますし、ランニングコストを低く抑えることができるため、増加した建築コストは将来的に回収できるでしょう。 

発電量が不安定

「創エネ」となる太陽光発電は、太陽光エネルギーを活用して電力を生成する仕組みです。 しかし、天候が曇りや雨の日、日照時間の短い冬季などでは発電量が減少し、一定の安定した電力供給を確保できない可能性があります。 


さらに、余った電力を電力会社に売ることはできますが、最近の売電価格は下落傾向にあり、以前のように高い収益を期待することは難しい可能性があります。

ZEHで補助金を受ける際の注意点

ZEH住宅で補助金を受けるには専門家の協力が必要です。また、補助金制度は年度ごとに変動し、異なる条件が適用されるので、最新情報を必ず確認しましょう。

登録業者の利用が必須条件

ZEH住宅で補助金を受けるためには、経済産業省・環境省による補助金制度の対象となる登録済みのZEHビルダーやZEHプランナーを選択する必要があります。

ZEHの基準と要件を理解し、専門知識と経験をもって、高気密・高断熱の省エネ住宅を建て、太陽光発電などの再生可能エネルギーシステムを導入することが大切。それにより、補助金の利用が可能かどうかも変わってきます。


信頼できるZEHビルダーやZEHプランナーを選び、協力して持続可能な住宅を建てることが重要です。

補助金額や採択方式などが年度ごとに異なる

ZEH住宅が対象の補助金制度は複数あります。事業名称・補助金額・採択方式・申請条件・申請期間は年度によって異なります。

事業名称補助金額
ZEH支援事業55万円
次世代ZEH+実証事業100万円
次世代HEMS実証事業112万円
地域型住宅グリーン化事業上限140万円
こどもエコすまい支援事業100万円
LCCM住宅整備推進事業上限140万円
【参考例】2023年度版 補助金額

例年4月頃に補助金の内容と申請スケジュールの発表があり、そこから約半年間前後が申請可能期間となることが多いです。

事業名称申請期間
ZEH支援事業4/28~11/10
次世代ZEH+実証事業4/28~11/10
次世代HEMS実証事業4/28~11/10
地域型住宅グリーン化事業4/28~6/2
こどもエコすまい支援事業3/31~12/31
LCCM住宅整備推進事業4/17~9/29
【参考例】2023年度版 申請期間

少し複雑なので、自分が家を建てる時期にどの補助金制度を利用するのが一番お得か、まずはZEHビルダーやZEHプランナーに相談ください。

補助金申請後は間取りや設備の変更ができない

ZEHの補助金申請に際して特に注意が必要な点は、一度申請を行うと、後からの間取りや設備の変更が認められないことです。 


通常であれば建築申請後に設備の変更や間取りの調整が行われることが一般的ですが、ZEHの補助金申請ではこのような変更は許可されません。

そのため、ZEHを建設する際には、申請前に慎重に間取りと設備を検討し、慎重に決定することが大切になります。 

募集期間中であっても公募が終了される年がある

補助金の申請は登録されたZEHビルダーまたはプランナー(ハウスメーカー・工務店)によって行われますが、受け取りが確約されているわけではありません。

採択方式は先着方式・審査採択方式・事前割当方式のいずれかで行われ、予算に達すると終了しますので、仮に申請期限内に申請しても、必ずしも受け取れるわけではありません。

ZEH住宅の補助金活用をお考えの方は、家づくりの早い段階でZEHビルダーに相談しましょう。

当社はZEHビルダー認定の工務店です

高気密・高断熱住宅が専門の弊社は、勿論ZEHビルダーに認定されている工務店です。2022年度ZEHビルダー評価制度では高レベルの5つ星を獲得しています。

ZEH住宅の魅力・性能・利用できる補助金制度について詳しく知りたい方、また既にZEH住宅を検討中の方は、是非一度当社にご相談ください。

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